6月も早くも、二回目の日曜日。
はて。
いつもの日曜日である。
何かがいつもと違うとすれば、私の風邪が激しく悪化しており、一言発する度に鼻をかみ咳き込むくらいだろうか。
2月に引いてた風邪より今回の風邪は悪魔レベルが高く、許されるなら鼻水も何もかも垂らしっ放しにしておきたい程、止めどない。
鼻からマーライオン。
鼻かみすぎて、耳はキーンてっするし、頭は朦朧とするし。
いつもと違うのは私だけで、母は相変わらず
「わたし3千円しかないの(´・ω・`)」
と、昼間からボケた事を言っている。
その3千円でどこまで過ごすつもりなのか、ファミレスの決して多くは無いメニューを、じっくりじーっくり吟味した。
たっぷり悩みに悩んだ結果、先週と同じ生姜焼き和膳となった。
生野菜から俗にゲテモノと称されるモノまで、ある意味満遍なく偏りなく何でも食べる私と違い、母は何だかんだ好き嫌いが多い。
肉は好きだが、生肉は好んで食べない。
自分が食べた事が無いモノは、基本食べない。
見た目でそそられないモノも、基本的に視界に入らない。
食物連鎖の激しい世界では、きっと生き抜いていけないだろうと思う。
んで。
先日風邪を引いた私に、
「弱っちょろいから風邪なんか引くんだよっヾ(*´∀`*)ノ」
と豪語していた母は、
「風邪うつされた・・・(´;ω;`)」
とグズグズしている。
口ほどにもないとは、こういう事を指す言葉なのだろう。
買い物があると言うので、外気温もだんだん高くなってきた今日此の頃。
車に食糧を積みっぱなしだと傷んじゃうから、カラオケ帰りに行こうという事になり、まずはカラオケ。
「んへへっ(*´∀`*)♪今日はマコちゃん初登場で歌えるかもっ(*´∀`*)♪」
マコちゃん・・・。
Who?
ふむふむ。
こちらを御覧ください。
はじめまして。マコちゃんです。
結果、母はまだまだマコちゃんには届かなかった。
そんな謎のマコちゃんにも、この近距離で母の大声を聞いてても耳鳴りがしないなーと思ってたら、何とまあ、自分の声も聞こえない私。
耳の中で気化してるかのような聞こえなさ。
何とまあ。
困ったわ。
耳が弱い私は何かとトラブルが絶えないので、言う程までに困っちゃいないけど。
でも音を取りながら歌うという、カラオケの本来あるべき形が不可能なので。
音楽も、自分の声も聞こえない。
どうする?
うーむー・・・。
うん。
こうする。
頭に入ってる曲だけを、音も声も聞こえぬまま強気で完奏。
NHKの朝の連ドラをナゼか欠かさず観ている母は、その時その時の主題歌もどうにか覚えようとする。
少し前には、AKB48だった。
今は宇多田ヒカル・・・。
AKBのその曲も、母は微妙な旋律の繊細さの違いを知らない。
「この詩のとこはここで半音上がってここで一回下がってまた上がるんだよ」
「・・・・・(´・ω・`)?」
楽譜をそもそも読めないのか、
「チュとぅ~↑ちゅ、とぅーって事(*´∀`*)?」
ぬ・・・?
全然わからん・・・。
そうそう。
数年前から、母の夏のテーマソングはユーミンの”真夏の夜の夢”(らしい)。
「ユーミンはやっぱ低いんだわっ(TдT)!」
音上げればいいじゃないか。
「そうだわっ(*´∀`*)!今年の夏はわたし4こ上げで行くわっ(*´∀`*)!」
好きなだけ、何個でも上がってくだされ。
唐突に、というか唐突じゃない母の言葉は無いんだけど、摩訶不思議な事を言い始めた。
「やっぱりさっ、ヒデアツさんは頭の中に音楽が流れるっていうもんねっヾ(*´∀`*)ノ」
はぁ、ヒデアツさんねぇ。
ヒデアツさんねぇ・・・。
Who?
私が知ってる母の交友関係の中に、『ヒデアツさん』はどこの人だったろうか。
会社関係、友人関係、その他・・・。
ヒ・デ・ア・ツ。
たっぷり3秒考えてから、ワタシキヅイタ。
GReeeeNのライブに行く事になった私は、まずGReeeeNの曲を全て聞き、関連書籍も買い読んでみた。
そういう外堀から理解しようとする派。
母は母のペースで読み進めているらしく、何の予兆もなく、この本の中の『GReeeeNのリーダーの英篤さん』が出てきたらしい。
私とした事が母の発想の出処迷子になり、危うくヒデアツ迷路に迷い込む所であった。
そしてそして、最近の母のカラオケの〆は、少ない何曲かからランダムに選別されるようになった。
この日はその中から『年下の男の子 byキャンディーズ』
「一緒に歌おっ(*´∀`*)!あっいいや。一緒に踊ろっ(*´∀`*)!!」
と究極の二択を詰め寄られてから、一緒に踊ろっ!を選んだ私は、両サイドの何とかちゃん代わりにフリフリ踊っている。
「真ん中の子より右の子の方がカワイイと思うんだけどなあ」
と言うと、
「ランちゃん(*´∀`*)?あ、違うわ。スーちゃん(*´∀`*)?あっ?ミキちゃんかっ(*´∀`*)?」
3人全員の名前が出た気はするんだけど、全部出てくると結局どれが誰だか未だに私にはわからない。
結局全員の名前が出てきてなにちゃんかわからず。
たっぷり2時間半のカラオケからーのー、お買い物。
スーパーに行き、入り口周辺で長ネギを選んでると、数メートル先から母が大きく手招きしてる。
何ですか・・・。
「ねえちょっと!!アボカド選んでヾ(*´∀`*)!うちにサーモンあるから一緒に食べるっ(*´∀`*)♪」
私はアボカド選別業者でしょうか。
そしてそのうちにあるサーモンとやらは、いつもの事ながら私が刺身用のサクを買い、一晩かけて漬け込んだ生食用のサーモンの事。
まあ・・・いいや。
そこでの買い物達を一度わが家に置きに戻ると、マンションの集合ポストではなく玄関のドアポストに、不幸の手紙が入っていた。
簡単に要約すると、
「壁が薄くて気になるから壁を厚くしてください」
んな無茶な( ゚д゚ )
出来るなら是非とも壁を厚くして下さい。
どなたか存じませんが、音が気になるなら気になる時間帯は外出するとか?
朝は日の出と共にカラスの鳴き声と会長の寝言で起き、夜はパトカーと救急車のサイレンと、上階の住人が倒れる騒音が子守唄替わりになっている私には、最早、気になる音など何ひとつ無い。
不幸の手紙からーのー。
夜ごはん。
「久しぶりにチーズフォンデュ行ぐがっ(*´ω`*)」
かれこれ半年前になるが、正月にこの店で引いたクジで、来年の1月までは毎回チーズフォンデュ無料!
という衝撃の事実を初めて知った。
「他には?何食べる?」
「わたしコレっ(*´∀`*)!!ネギたくさんだしまきタバゴ!」
「・・だし巻きタバゴね」
「ちょっと詰まったの(´;ω;`)」
だいぶ詰まったね。
「あと他は?」
「好きなもの頼みなーっ(*´∀`*)!むふぁふぁっ(゚∀゚ )!!」
昼の時点で3千円しか無かった母は、カラオケと買い物を経て、財布に千円札が入っているかも怪しい。
自分が払う事は絶対に無いと、娘の前でここまで強気に『大船に乗ったつもりでいなさい』状態でいられる母が、不思議でならない。
「帰りよさこい見ながら帰ろうかーっ(人´∀`)☆ちょうどいい時間だからさぁ(人´∀`)☆」
「そっか。ちょうどいいんだ。じゃ、気をつけて帰ってね」
「・・(゜o゜;)
そう来たかぁ(゜o゜;)」
一応一緒に眺めながら帰ったけど、ね。
夏だなー。
私の体感温度は、亜熱帯かアマゾンの奥地の湿地帯かぐらいだけど。
だけども、だけんども。
今年も夏はやってくる。
大丈夫か、私。
そして、大丈夫か、会長。